2023/12/29 18:24

2023年にサカイが読んだ本の中で

特に面白かったと思う小説ベスト3を紹介します!

小説以外は年内に発表します!


ちなみに今年中に最後まで読み切った本は53冊。

そのうち小説は11冊でした。

ちまちま平行して読み進めている本や積読本、途中で読むのがストップしてしまった本は他にも多数ありますが、Top3は読了した本から選ぼうと思います。


サカイはここ数年、週1冊は読む!を目標にして読書を続けています。今年もなんとか達成しました!


さて、さっそくランキングの発表に移りましょう!


第3位

ジョージ・オーウェル『1984年』ハヤカワ文庫2009年


言わずと知れた名著を読みました。

名著にタイミングはないことを実感できる内容でした。

ビックブラザーによる監視社会で繰り広げられる反逆とその挫折。言葉をつむぐことの意味とはどこにあるのか、私たちの自由はどこにあるのかを考えさせられます。


社会構造について論じられることの多い本作ですが、個人的によかったのは、主人公の恋人とのつながりが1つの行動の支えになっているところと、恋人を裏切ることで、思想的な転向を迎えるという構成です。

ビッグブラザーやニュースピークについても語るべきことは多いですが、(著者は大衆に読まれるために恋愛要素を混ぜたのかもしれないが)愛によって動き、彼女を裏切ってしまったことで転向するという展開は実に人間的に見えました。


第2位

マイク・レズニック『キリンヤガ』ハヤカワ文庫1999年


会社の同僚におすすめされて読んだ一冊でめちゃくちゃおもしろかった本。

絶滅に瀕したアフリカの種族、キクユ族のために作られたユートピア惑星であるキリンヤガを舞台に繰り広げられるSF小説。

キクユ族がキクユ族らしく生きるために純潔を守ろうと祈祷師のコリバが奮闘するお話しです。短編集なのでちょっとずつ読み進められます。

村人との対立、世代間のギャップ、近代人との摩擦。

近代という時代が何をもたらしたのか。純粋な民族的な暮らしとは何か。また、何が民族集団たらしめるのか。

深く考えさせられる一冊であることは間違いなし!

何が正解なのかわからなくなる深い作品でした。


そして、堂々の第1位はこちら!


第1位

山本文緒『自転しながら公転する』新潮文庫2022年


主人公の都と貫一の恋を描く恋愛小説。

読書会で読むことになり読んだ一冊で、作品の完成度とともに、恋愛小説の意義を考えさせられる一冊でした。

『1984年』『キリンヤガ』のように何十年も読み継がれていくかはわかりませんが、この同時代を生きる私たちの人生を省みさせ、生きていく力を与えてくれる一冊であることは間違いないです。


本書のあらすじはこんな感じ(新潮社HPより)


母の看病のため実家に戻ってきた32歳の都(みやこ)。アウトレットモールのアパレルで契約社員として働きながら、寿司職人の貫一と付き合いはじめるが、彼との結婚は見えない。職場は頼りない店長、上司のセクハラと問題だらけ。母の具合は一進一退。正社員になるべき? 運命の人は他にいる? ぐるぐると思い悩む都がたどりついた答えは――。揺れる心を優しく包み、あたたかな共感で満たす傑作長編。


現代日本社会の不安定で絶望的な側面を生きる主人公たちであるにも関わらず、これは私自身の物語であると思わせられます。


私の好きな社会学者見田宗介は問いました

『人はどれだけの関係を必要とするのかということを、わたしたちは問うてみることができる。他者のいない生は空虚であり、先にみたように、一切の他者の死滅した後にただ一人永遠の生を享受する生は、ほとんど永劫の死と変わりのないものであるが、この生が生きるということの意味を取り戻し、歓びに充ちた障害であるためにさえ、他者はたとえば、数人で充分であるということもできる。わたしの思考実験では、極限の場合、激しい相互的な愛が存在している限り、この他者は一人であっても、なお永劫の生を意味づけるに足るものである。』(見田宗介2006)


このつまらない人生、つまらない社会で生きて行くための一筋の光としての恋愛。


私を支えるものとしての愛情。


あなたをもっとしりたいた思う気持ちが、私の人生を支えるものとなる。


恋愛小説とは恋愛のもつ価値を証明するものだったのかと考えを変えさせられました。


別にキュンキュンしないしトキメキはしないけど、それがいい。


以上、サカイ的2023年小説ベスト3でした!

次回は小説以外のベスト3でお会いしましょう

お楽しみに!